アースオーバーシュートデー2022: 循環型ビジネスがオーバーシュートを逆転させる
チューリッヒ、スイス – 2022年7月25日 – グローバル・フットプリント・ネットワークの算定によると、今年のアースオーバーシュートデーは7月28日に到来しました。これは、1月1日からこの日までに、地球の生態系が1年間に再生できる資源量を人間が消費し尽くしたことを意味します
アースオーバーシュートデーは、半世紀以上にわたるオーバーシュートが、生物多様性の大幅な減少、大気中の温室効果ガスの増加、食糧やエネルギーをめぐる競争の激化につながっていることを思い起こさせるものです。これらの症状は、異常な熱波、森林火災、干ばつ、洪水などでより顕著になってきています。
気候変動や資源の制約がさらに大きくなることが予測される中、資源の確保は持続的な繁栄のための不可欠なパラメータになりつつあります。これは、国、都市、企業のいずれにも当てはまります。つまり、すべての都市、企業、国にとって、来るべき未来に備えて、自らの事業能力を守るために、今すぐ立ち上がることが利益となるのです。国際的な合意を待つメリットはありません。
実際、循環型経済を重視する新世代の企業は、すでにそのことを認識しています。このような企業は、オーバーシュートを抑えながら事業を行っています。つまり、そのような企業が拡大することは、世界のオーバーシュートが減少することを意味します。
グローバル・フットプリント・ネットワークのマティス・ワケナゲル氏は、「循環型ソリューションを実現することは、来るべき未来において企業が成功するための最善のチャンスとなります」と述べています。さらに「その方法を示す多くの事例があります。これらは『可能性の力』を象徴しています」と述べています。
循環型ビジネスの例として、ドイツまたはスイスの中規模企業が挙げられます。
- 建設業: 建物の取り壊しで生じる廃棄物は、世界で毎年60億トン以上発生しています。スイスの建設会社エバーハード社は、混合建設廃棄物を回収し、新しい高品質の二次原料に転換するヨーロッパ初のプラントを10カ月前に開設しました。その用途のひとつが、リサイクル材料による低炭素型循環型コンクリート(zirkulit®)です。従来のコンクリートに代わり、このようなコンクリートが世界中で使われるようになれば、アースオーバーシュートデーは4日遅らせることができます。
- ウェーターテクノロジー: すべての生命は、きれいな水を必要とします。アクセプタンス・グループは、水の安全な利用と再利用を可能にするため、自治体や産業界に、水のろ過、分離、処理に特化した製品とソリューションを提供しています。また、すべての用途において、CO2排出量の削減と天然資源の保存を優先し、自然保護に貢献しています。
- 廃棄物のリサイクル:さまざまな材料や製品のループを閉じ、プラスチックを含む大量の廃棄物の流れの分別とリサイクルを提供することで、インターゼロ社は社会の新資源への依存を減らしています。グローバル・フットプリント・ネットワークの研究チームは、インターゼロのデータに基づき、同社が廃棄物ゼロのソリューションによって生み出す年間付加価値1ユーロあたり、世界のオーバーシュートが28グローバル平方メートル以上縮小すると算出しました。これは、世界経済が1年間に生み出す1ユーロにつき、6グローバル平方メートルのオーバーシュートが拡大されるのとは対照的です。つまり、1ユーロあたり、インターゼロ社は世界経済がもたらす恩恵の10倍を地球に還元しているのです。インターゼロ社がなければ、アースオーバシュートデーは4分20秒早まっていたでしょう。このように、その影響は地球規模でも測定可能なのです。
価値ある商品やサービスを生み出すと同時に、世界のオーバーシュートを抑えることができる企業は、当然、来るべき未来に、より有利な立場にあります。そのような企業は、世界のトレンドを無視した企業よりも、必要とされる可能性が高く、それゆえに企業価値を維持することができるのです。
プレスリリースを他の言語でもご覧いただけます。
参考資料:
日本におけるフットプリントの歴史(英語)
お問い合わせ先
Katsunori Iha 伊波克典(日本) グローバル・フットプリント・ネットワーク
katsunori@footprintnetwork.org
Dr. Marta Antonelli (スイス), グローバル・フットプリント・ネットワーク
marta.antonelli@footprintnetwork.org | +41 78 656 2844 (Switzerland)